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岩波書店の新日本古典文学体系第90巻「古浄瑠璃 説経集」 [古浄瑠璃について]

岩波書店の新日本古典文学体系第90巻「古浄瑠璃 説経集」 

最近、岩波書店から出ている新日本古典文学体系第90巻「古浄瑠璃 説経集」を買いました。とてもいい本です。

古浄瑠璃や説経浄瑠璃に興味をお持ちの方には是非お勧めです。

以前に、東洋文庫243の「説経節 山椒太夫・小栗判官他」(荒木繁、山本吉左右 編注)をご紹介したことがあります。東洋文庫243の「説経節」も手軽に持ち運べて文庫本感覚で読めて便利ですが、文字の大きさや注などの点では岩波書店の「古浄瑠璃 説経集」の方がずっと読み易く良いと思います。

因みに「古浄瑠璃 説経集」は1999年刊行ですし、「説経節 山椒太夫・小栗判官他」は昭和48年(1973年)ですから26年の差があります。

掲載されている説経節については、「説経節 山椒太夫・小栗判官他」はいわゆる五説経の山椒太夫、刈萱、信徳丸、愛護若、小栗判官プラス信太妻です。

一方、岩波書店の「古浄瑠璃 説経集」は、浄瑠璃御前物語、ほり江巻双紙、おぐり、かるかや、さんせう太夫、阿弥陀の胸割、牛王の姫、公平甲論、一心二河白道となっています。

また「古浄瑠璃 説経集」の校注には鳥越文藏先生の教え子の阪口弘之先生のお名前もありました。阪口先生は、昨年の7月わざわざ関西から新潟公演の「越後國・柏崎 弘知法印御伝記」を観に来て下さいました。

同じ下題の両方の注を読み比べてみるのも面白いと思います。

また挿絵は、「説経節 山椒太夫・小栗判官他」にはありませんが、「古浄瑠璃 説経集」には沢山あります。

明らかにいろんな意味で「古浄瑠璃 説経集」の方が充実していると思います。

 
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八郎兵衛さんが出演される「中年楽団の一夜」(11月27日、28日)の情報は以下のブログをご覧下さいませ。 また12月1日のドナルド・キーン先生の「安吾賞授賞式」で越後猿八座が「弘知法印御伝記」六段目を上演することになりました。その情報についても以下のブログに掲載させて頂きました。 

http://echigo-kakutayu2.blog.so-net.ne.jp/


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6月2日に古浄瑠璃の見台が到着 [古浄瑠璃について]

6月2日に古浄瑠璃の見台が到着

 

人間国宝(昨年7月認定)の室瀬和美先生に昨年2月頃にお願いした見台が完成し、6月2日に届きました。

素晴らしい!の一言です。見るや否や感激してしまいました。

早速その日のうちに心萃房で使ってみましたが、非常に語り良いです。

次の写真だけでは分からないと思いますので、詳細はまたご報告させて頂きます。

勿論6月7日の柏崎公演からこの見台を使用します。

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古浄瑠璃の参考書籍 [古浄瑠璃について]

古浄瑠璃の参考書籍

 

義太夫とか浄瑠璃については一般的に情報は得られるのですが、古浄瑠璃や説経浄瑠璃となるとなかなかすっきりとした情報が得られないというのが実情だと思います。「越後國・柏崎 弘知法印御伝記」を上演するにあたり今後このBlogにおいて出来る限り、と言っても私の知り得る範囲ですが、書籍やHPなどをご紹介していきたいと思います。

今日は、古浄瑠璃についての、特に私が最近参考にしている書籍を数冊ご紹介させて頂きます。私自身もはっきり申し上げて古浄瑠璃の世界に興味を持ち始めたのはせいぜい3年程以前のことですので、実に知識は浅薄に過ぎません。出来れば皆様のお教えを請いたいと思います。

これらの書籍は、私の場合ネットで購入しました。「パリ国立図書館蔵 古浄瑠璃集」が40005000円で、それ以外は2000円前後で購入出来ると思います。いずれにしても私のような実演者にとってもなくてはならない書籍だと思います。

 

「説経節 (山椒太夫・小栗判官他)」(東洋文庫243)荒木繁・山本吉左右 編注 平凡社

 山椒大夫、刈萱、信徳丸、愛護若、小栗判官、信太妻が読める他、荒木繁先生の解説と解題、山本吉左右先生の“説経節の語りと構造”の論文があります。1973年初版

 

「浄瑠璃の誕生と古浄瑠璃」(【岩波講座】歌舞伎・文楽第7巻)編集責任/鳥越文藏・内山美樹子・渡辺保 岩波書店 帯に、“浄瑠璃の誕生から近松前夜までの古浄瑠璃の通史”とあるように、数人の専門家の先生方の論文によって少し学術的かもしれませんが古浄瑠璃についての概要と詳細を知るには格好の一冊と思います。1998年初版

 

「パリ国立図書館蔵 古浄瑠璃集」鳥越文藏編、校倉書房 昭和43年初版。鳥越文藏先生が大英博物館で「弘知法印御伝記」を発見されたとほぼ同時期に、パリ国立図書館で発見された古浄瑠璃の台本を読むことが出来ます。“ふみあらい”、“金平物語”、“金平鬼王遊”、“西行物語”など11編です。

 

「古浄瑠璃集[大英博物館本]鳥越文藏、チャールズ・ダン共編 古典文庫 昭和41年初版。鳥越先生が昭和38年に山のように積み上げられた日本関連の古書の中から発見された古浄瑠璃、“弘知法印御伝記”、“他力本願記”、“太織冠”の三篇を読むことが出来ますが、木版刷りの文字や挿絵、本の表紙なども写真で見ることができ興味深い一冊でした。

 

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古浄瑠璃における弾語りの形態と見台 [古浄瑠璃について]

古浄瑠璃における弾語りの形態と見台

 

これまでは「越後國・柏崎 弘知法印御伝記」の上演を計画するに至るまでの経緯や企画の内容、そして越後猿八座の立上げ、稽古のことなどを書いてきました。最近は主に人形を中心にした稽古風景や人形の周辺のことについてでした。写真の掲載なども同様でした。

これからは勿論人形のことや座員のことも折に触れて記事にしますが、私(越後角太夫)の謂わば専門である弾語りについて、即ち演奏や作曲、三味線のこと、「弘知法印御伝記」のテキストのことなどについて触れてみたいと思います。曲として音をこのブログに載せることは可能なのですが私自身の著作権に関わることだと思いますし、上演の時までのお楽しみということにさせて頂きます。

人形と違いビジュアル面で動きや色彩面で面白みに欠けるかもしれませんが、私なりの表現で画像なども見て頂きながら説明をさせて頂きます。また私は実演者であり学術的な研究者ではないのでもし間違いや疑問などございましたらコメントにお寄せ下さい。どうぞ宜しくお付き合い下さいませ。

「弘知法印御伝記」の出版された1685年(貞享2年)という時代は、五代将軍徳川綱吉正保31月816462月23 - 宝永61月1017092月19)、在職:1680-1709年】の治世です。そして「弘知法印御伝記」を鎖国時代の禁令を敢えて犯してまで出島から国外に持ち出した(しかしそのお蔭で私達は現代においてこの作品を上演することが出来るわけですが)ドイツ人医師エンゲルベルト・ケンペル(ケンプファー)は、元禄4年(1691)と同5年(1692)に二度将軍綱吉に謁見していますが、その著書『日本誌』の中で綱吉のことを、「非常に英邁な君主であるという印象を受けた」といった評価をしています。ケンペルの綱吉観や両者の交流については中公新書刊行『ケンペルと徳川綱吉』(ベアトリス・M. ボダルト・ベイリー・1994年 ISBN 4-12-101168-6)に詳しい。

また浄瑠璃の世界では、「弘知法印御伝記」が出版された1685年(貞享2年)に竹本義太夫と近松門左衛門が初めてコンビを組んだと言われており、それ以降は義太夫節に圧倒されて古浄瑠璃や説経浄瑠璃は消えゆく運命を余儀なくされたわけです。ですからこの「弘知法印御伝記」は古浄瑠璃の最晩年期の作品と言えます。

 この古浄瑠璃の最晩年期、どのような演奏形態であったかを想像することは実に興味深いことです。でも分からないことが非常に多いことも事実です。鳥越文藏先生のお話しを引用させて頂きます。

「まず間違いなく三味線の弾き語りだったでしょう。そして全段を通して一人の演奏者が弾き語りしたことも大いにあり得ると思います」

とのお話しでした。そこで今回「弘知法印御伝記」を弾き語りするに当たって私一人で全段(約2時間45分を予定)を演奏するわけです。これは相当に重労働、というのはどなたにも想像できると思いますが、かつてはおそらくそうしていたであろうことを思うと頑張らざるを得ません。将来私の後継者が少しでも私を手伝ってくれることを願っています。

三味線と語りのことは後日にお話しするとして、今日は見台(けんだい)についてちょっとお付き合い下さい。

見台とは、その浄瑠璃本を置いて演奏しながら見る台のことです。これまで私は義太夫を弾き語りする時には、義太夫の見台を使いました。八郎兵衛(西橋)さんとの共演で、古浄瑠璃や説経浄瑠璃を演奏する時にはどうしていたかというと、適当な大きさのカバンに濃紺の紬の布をかぶせ、その上に本を置いて見台としたり、また文楽時代に日本舞踊の会などで地方(ぢかた)として出演する時に使った見台(というよりも譜面台)を使っていました。

今度「弘知法印御伝記」を演奏するに当たり、私なりの見台を設計し、友人の漆芸家に依頼して作ってもらうことにしました。設計するに当たっては、江戸時代の資料(元禄期と思われます)、

  • 『今昔操年代記(いまむかしあやつりねんだいき)』(早稲田大学演劇博物館所蔵)
  • 『世間子息気質(せけんむすこかたぎ)』(国立図書館所蔵)

の挿画にある見台を参考にしました。義太夫の見台とは似ても似つかない、単純な箱型で本を置く面は見易いように工夫して傾斜を少しつけました。塗は黒塗りではなく、拭き漆という技法で、木目が見えるようにしてみました。『今昔操年代記』の見台は黒塗りですが、『世間子息気質』の見台は明らかに木目が見えています。木目が見えた方が、むしろ素朴で古浄瑠璃の世界に相応しいと思ったからです。お客様から見える前面には、ドナルド・キーン先生の書で、「越後角太夫 ドナルド・キーン(落款)」を入れます。落款は、「鬼院」(“きいん”)となっており、三島由紀夫先生がドナルド・キーン先生との書簡の中でしばしば使っておられます。この書を見台に使うことを快く私にお許し下さったドナルド・キーン先生に心から感謝申し上げます。この見台は来年四月には友人の漆芸作家が完成してくれることになっています。出来あがるのが楽しみですし、作家のお名前もその時に公表出来ると思います。

 また余談になりますが、昨年11月と12月に新潟のりゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)の能楽堂と東京・青山の銕仙会能楽研究所で計七日間、八回の公演を行った、りゅーとぴあ・シェークスピア能楽堂シリーズ「ハムレット」で古浄瑠璃風に作曲演奏した際には、人形作家の後藤信子さん(越後猿八座の座員でもあります)が特別に見台を作って下さいましたが、なかなかの出来栄えで本当に使い易かったです。

 

写真の説明です。

  • 「鳴門」を義太夫の見台で弾き語りする(2007年全生庵)
  • 「嫗山姥」の“しゃべり”を文楽時代の譜面台で弾き語りする(2006年夏季講座)
  • 「小栗判官」車曳きの場をカバンの上に布をかけて見台として演奏する(2007年夏季講座など)
  • りゅーとぴあ・シェークスピア能楽堂シリーズ「ハムレット」で後藤信子さんの見台で演奏する(2007年りゅーとぴあ、写真提供もりゅーとぴあ)

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